新旧バレンタイン30年対決
まず一言
私はバランタイン30年が好きだ。
私は旧バランタイン30年についてこのようなイメージを持っている。
香りは白いワンピースを着た病弱な少女。
屋敷で車椅子にも乗ってそうなあの子だ。
僭越ながら、イメージの輪郭をはっきりさせるために参考画像を用意した。
しかし口にすると、舞踏会に変わる。
あのあどけなかった少女だった女性は、真っ赤なドレスに身を包みこちらを艶やかな瞳で誘っていた。
その印象は今も同じだ。
海岸の町、とは言わないが山奥でもない屋敷。
薄氷のような層の中に、潮とピートが上品に佇んでいる。
ワクワクはしない。
この危うさ、守ってあげたくなるような儚さがこの酒の香りにはある。
一方新バランタイン30年の方は(開栓直後なのでまた条件が違うが)、表層に出ている。
チョコレートの膜に包まれた層だ。
瞳に潮風、上等で主張しすぎないピートが鼻孔をくすぐる。
どちらかと言えば新の方がワクワクする。
しかし、パンチのある酒には到底思えない。
旧
うすらいの中のピートが、その肌を露にする。
そして葡萄が名残惜しそうに去っていく。
まさに女性を追いかけていく感覚。
どこか寂しくさせるようなこの味は、ナルシストと孤独に良く似合う。
昼からは飲みたくない酒だ。
新
これは別の酒だ。
まず、旧以上に淡白。
通ぶった表現は「ボディがしっかりしていない」だろうか。
この流れで表すなら、
「まさかの夢オチ」
というのが相応しいか。
ぶどうは微かで、どちらかと言えば潮。
そしてピート。
何故こっちが泡沫…………泡沫の夢だ。
今日はコイーバのエクスクイジートを頂く。
この葉巻のあとに新バランタイン30年を煽ると驚くほどフルーティーになるから吃驚だ。
旧は、ノーコメントで。
同じ値段でどちらを買うか。
私なら旧バランタイン30年。